私たちが日頃使っている日焼け止めの紫外線吸収剤としてよく使用されている成分。その中には、身体だけでなく、海や海洋生物に悪影響を及ぼしているものがあることをご存知でしょうか? 株式会社マーベセラーの勉強会に参加し、化粧品原料「MAAs」について学んできたので皆さんにもシェアします。
「MAAs」ってなに?
「MAAs」とは、マイコスポリン様アミノ酸というラン藻類のエキスで、化粧品表示名称は「アファニゾメノンフロスアクエエキス」という保湿成分です。サンゴの中や海藻、浅い水辺に生息する生物の中にも存在しているそう。世界中で研究されており、抗酸化作用、抗炎症作用、創傷治癒などたくさんの効果が期待でき、化粧品だけでなく、最近は医療用としても使用されています。
天然の日焼け止め成分とも言われている「MAAs」
日焼け止めには、紫外線をカットするために紫外線吸収剤と紫外線散乱剤が使用されています。紫外線吸収剤は人工的に作られた成分です。紫外線のエネルギーを吸収して熱や赤外線などのエネルギーに変えて放出することで肌への影響を抑え日焼けを予防します。
紫外線散乱剤は、微粒子粉体が紫外線を反射・散乱させることで肌を守ります。紫外線散乱剤だけでつくられた日やけ止めは「ノンケミカル」と表示されることもあります。
UV対策のために日焼け止めは必須ですが、効果の強いものほど肌の乾燥や肌トラブルの原因になる心配も。そこで注目されているのが天然の日焼け止め成分とも言われている「MAAs」なのです。「MAAs」はUV-AもUV-Bもカットする働きがあり、今まで使われてきた紫外線吸収剤の代わりになるということで、世界中から大注目! 紫外線で壊れにくいので塗り直し回数も減り、肌に残ったとしても美容成分としてケアしてくれます。敏感肌の方や小さな子供にも使いやすい成分です。
「MAAs」はしわ予防の働きも期待できる成分
しわにはコラーゲン繊維、エラスチン繊維、ヒアルロン酸をケアすることが大切。紫外線があたるとネプリライシンという酵素が活発になり、エラスチン繊維にダメージを与え、しわができてしまいます。「MAAs」にはネプリライシンの活性を抑さえる効果も。それだけでなく、コラーゲン繊維、エラスチン繊維、ヒアルロン酸を同時にケアしてくれるので、しわをできにくくしてくれるところがうれしいポイントです。
紫外線吸収剤が自然界に与える影響
紫外線吸収剤は日焼け止めだけでなくプラスチックなどにも練り込まれており、生活排水を通して海や川へ流入します。それがサンゴなど海洋生物に悪影響を与えると考えられているため、紫外線吸収剤を含む日焼け止めを禁止している国が増えています。日本でもさまざまな調査が行われ、海や川、田などに生息する生き物からも紫外線吸収剤が検出されたことがわかりました。さらに皮膚から吸収して身体に入っていくこともわかり、母乳から検出されたり、ホルモン異常が見られたりしたそうです。
「MAAs」がこれまで使われてきた紫外線吸収剤の代わりを担うことができること、さらに、しわをできにくくしてくれる成分であることもわかりました。原料の勉強会なだけあって、深く掘り下げられた内容で大満足。私たちの肌や身体をケアすることが、海やサンゴを守ることにつながるなら、私たちにもできそうですね! すでにいくつか製品化されているので早く手にとって使ってみたいと思いました。
※取材・文/永尾さやか(美容師。趣味は美容と健康。かっこよく歳を重ねていくために、薬膳や適度な運動を取り入れて身体の内側からの美を意識している)