レチノールのこと、もっと詳しく知りたい!次世代型レチノールもご紹介
2023.01.13:JCLA美容通信
最近、名前を見かけることが多くなった「レチノール」。化粧品では昔から「ビタミンA油」や「パルミチン酸レチノール」などの形で使われてきた成分です。「シワを改善する」という新たな効能効果が謳えるようになったことや、昨今の化粧品成分ブームによって、再び注目が高まっています。今回は、「レチノール」についてあらためて詳しく解説するだけでなく、次世代型レチノールとよばれる成分についてもご紹介します。
そもそもレチノールって何?

レチノールとはビタミンAの一種です。
構造が一部異なる成分として、レチナールやレチノイン酸などがあり、レチノールを肌に塗布すると、レチノール → レチナール → レチノイン酸(別名:トレチノイン)と変化していきます。レチノールは、レチノイン酸まで変化することで、レチノイン酸受容体に作用し、さまざまな効果を発揮するとされています。
また、ビタミンAとは全く類似しない化学構造でありながらも、レチノールと同様にレチノイン酸の受容体と高い親和性をもつ合成化合物をレチノイドに含める場合があります。

レチノールが肌への塗布後に変化した形であるレチノイン酸(トレチノイン、オールトランスレチノイン酸)は、ダイレクトに効果を発揮します。米国では、ニキビやシワの治療薬としてFDA(アメリカ食品医薬品局)に認可され、使用されています。一方、日本では保険適用されておらず、自由診療の範囲のみで使用されています。ちなみに、保険適用のニキビ治療薬として用いられる「アダパレン」は、合成レチノイドに分類され、レチノイン酸と同様の効果をもつものとして使用されています。
これらは効果が高い分、副作用もあり、化粧品に配合することはできません。そのため化粧品には、いわゆる「純粋レチノール」「ピュアレチノール」とよばれる「レチノール」を使用することになります。
ただしレチノールは、空気に触れたり熱や光にさらされることによって容易に酸化されるなど非常に安定性がよくない性質があるため、安定性を高めた「パルミチン酸レチノール」や「酢酸レチノール」といった誘導体の形で配合されてきました。近年はこの「レチノール」の安定性の課題が処方技術や容器の工夫等で改善され、「レチノール」そのものも化粧品成分として使われるようになりました。さらに「シワを改善する」効果を標ぼうできる医薬部外品の有効成分として承認されたことにより、再び熱い注目を浴びているのです。
レチノールの肌への作用は?
レチノイドには、基底層にはたらきかけて表皮角化細胞を増やす作用があります。また、基底層付近のメラニンの排出を促す作用もあるとされています。
② 角層剥離を促す
ターンオーバーを早め、角層の剥離を促すことで、一時的に角層の剥がれ落ちを活発にさせて角層を薄くする作用があります。これにより、毛穴のつまりが除去され、ニキビ症状が改善する効果も期待できます。
その一方で、使用する濃度等によっては角層が必要以上に薄くなることで皮膚のバリア機能が低下し、刺激を感じやすくなったり赤みなど皮膚炎を起こしやすくなることがわかっています。
③ 表皮のヒアルロン酸を増やす
表皮にもヒアルロン酸は存在しています。レチノールはヒアルロン酸合成酵素であるHAS3の遺伝子発現を促進し、表皮ヒアルロン酸を増やすことにより皮膚水分量を増加させ、肌に柔軟性を与えます。この作用により、シワを改善する効果が期待できます。
④ コラーゲン線維の生成を促し…
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